正中線って重要?

さあ今回は、やっとまじめな歯科関連ということで論文など紹介していこうと思います。

先日、人工歯を前歯に配列しているときにふとぶつかった課題が、顔面の正中に合わせると口腔内では、左右差が出るということです。このままではどちらかの歯が小さくなってしまう。でも歯を同じサイズにすると、顔面に対して、中切歯の正中線がずれてしまう。


正中線が大事なのか、歯のサイズの対称性が大事なのか、どっちなんだい?となりました。


僕は日本で診療しているときは、義歯は特に正中線大事、顔面正中合わさなきゃ、見てもよくわからないけどみたいな感じでした。


そこで登場したのが、この論文!

Comparing the Perception of Dentists and

Lay People to Altered Dental Esthetics

 KOKICH J R , 先生によるものです。 要は何をしたかというと、みんな審美とか言うけど、審美的な変化にほんとに敏感なの?ちょっと変えても気付かないんじゃないの?という研究です。

歯冠の長さ、歯冠の幅、切歯の傾斜、歯間固形空隙のサイズ、歯肉縁、正中、歯肉から口唇までの距離をそれぞれフォトショップで患者さんの口腔内を1から4ミリ移動させて果たして、矯正科、一般歯科、患者さんで、どう違うかを比べたという研究です。

下の図1を見てみたら、瞬時になにかおかしいってわかりますでしょうか。



これは歯冠の長さを変えたパターンです。1から2ミリくらいの差だったら審美的に劣るとは考えないというのが、この研究結果でした。


しかし、図2はどうでしょうか、すぐさま何かおかしいって気づくんじゃないでしょうか。人間、歯の傾斜には敏感なんですね。


図3は、どうでしょう。


これが今回のお題の正中線です。ずれているのに、一番成績の良い矯正科医ですら、2ミリまでは審美的におかしいとかんじなかったというのです。ちなみに一般歯科医と、患者さんはきづかない。面白い結果ですよね。

いわゆる正中線はそこまで厳格にみんなみていないよということでした。


いわゆる何が言いたいかというと、今回の論文で分かるように、正中線なら2ミリくらい動かしてもだれも気付かないなら、それよりほかの因子を注意すればいいじゃないかということです。口腔内で2ミリといったらかなり助かりますよね。


逆に、患者さんも歯の傾斜に対してはすごい敏感なのでそこはシビアに行く必要があるよとか、考えることで、正中を含んだCRや、補綴物製作の際にファイナルを想像するのに助かるし、技工士さんに適切な指示が出せるのではと思います。

そしたら、患者さんの満足度もあがるんじゃないか!!!と思うわけです。


もちろん診療しながら、ふと優先順位を決めていると思いますが、そこに統計もプラスされていると、成功率も上がると思うので、もしよかったら明日の診療から頭の片隅に置いてみると面白いかもしれません。

といってももう年末ですが。(笑)


初めてのまじめな投稿。簡潔にまとめるのはなかなか難しいですね。まあ、これからどんどん成長していきます。

メリークリスマス






図1


図2


Satoruサンアントニオへ行く

せっかくアメリカにいって勉強する機会ができたので、2018年から約一年半の日常、歯科事情、少しでも伝えていけたらと思います。 大変な症例というより、普段の治療法など何気なくやっていたことに、確かな理由を付けていって、診査診断などに役立てていただけることがあると幸いです。

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